沢山ある苦い思い出の10個目くらい

世間は成人式らしい

成人式に何か思い出があるか、と言われたらそんなには無いんだけど連休で、何となくブログを書こうと思い、無理やりに思い出してみる、まず俺は専門学校がほぼ終わりかけで当時は名古屋に住んでいた、生まれは高知だが思春期と呼ばれるほとんどを名古屋で過ごした、信じられない暗黒時代だし友達は一人もいなかったし、誰も覚えていない、土地に馴染まなかったんだろう、そんな暗黒の土地とももうオサラバさ、最後にもう二度と訪れないであろう連中の顔でも見てやるか、ケッ!クソが!みたいな気持ちだったと思う、とゆうか、家が小学校の目の前だったしまぁいってもいいかな、くらいの感じでフラフラと慣れない背広をきて向かったなんとなく知ってるような、知らないような顔がいくつか見られたが何しろ友達がいなかったのでキョロキョロとしてるうちに、縁もゆかりも無いおじさんの説法を聞かされほどなくして式は終わった、何の感慨も無かった。でも晴れやかな気持ちと同時に何の思い出も無かったはずの土地を離れる実感が湧いたのか少しだけ寂しい気もした。

あたりを見回して誰か話せるような人はいないか、と思った。

Mちゃんが目に付いた、Mちゃんは中3の頃に同じクラスにいた背の高い美人な女子で全く覚えていないが何かキッカケがあり、たまに話す仲になり、ちょっとだけ付き合いかけた事がある女子だ、ホットドッグプレスの知識を駆使して部屋でエロい事もしかかった。

美人なままだったが、何しろ自分の女子といい感じになった思い出は成人式の時点でそのMちゃんとの思い出だけであり当時自分は専門学校でモテない軍団を結成し、女子と喋ったら裏切り者とする、という厳しい規律を守って生きていたゲームオタクだったので、美人の女子に話しかけたい!という気持ちをグッと堪えて体育館を出ようかと思っていた。

というのは建前で、Mちゃんとの顛末が酷いものだったから話しかけれなかったというのが正しい。

Mちゃんと仲良くなる一年前、中学二年の年、俺は激烈にイジメにあっていた、今のイジメと違い暴力や破壊工作、恐喝などが当たり前の時代だったのでそれはそれは思い出したく無いことしか無いのだが、基本的に楽観主義者の馬鹿でありそのせいでメンタルはゴキブリ並みに強いので毎日欠席せず学校に行っていた。それのみが馬鹿が馬鹿に打ち勝つ方法だと信じていたのである。今考えればサッサと逃げてもっと世界を見ておけば良かったかもしれない、そんな状況の中一年何とか生き抜き、三年に進み、うわべだけは学園生活も平穏を取り戻した様に見えた、イジメをしていた連中にちょくちょく放課の時間を狙って呼び出したりはされてはいたがそれぞれクラスが違ったり受験だったり面倒ごとも増えてそういう事も減り、女子と仲良くしたりする様な時間もできたのである、人生で初めて訪れたかもしれないリア充期だったがその期間は本当にわずかで終わる、終わらなかったら俺の童貞喪失は10年くらい早かったかもしれない。やかましいわ!

なぜ終わったかと言えば主に私をイジメていたグループの誰か、もしくは複数がMちゃんの家の自転車などを連日破壊したり玄関を荒らしたりしたらしいのだ、自分がイジメにあっている事は学園中が知っていたし、教師まで一緒になって加担していたぐらいなのでもちろんMちゃんも知っていたんだろう、集団行動の中で弾かれているものに話しかけ仲良くするなんてそうそうできるものでも無い、今考えると相当優しい心の持ち主だったんだなあ、なんて思う。

Mちゃんからは非常に達筆な字で手紙がきた、確か今も押入れのどっかにある、たぶん、いや、もう無いかもしれない

細部までは覚えていないが、本当に怖くて、どうしようもなくて、家族も心配してるのでもう仲良くできません。という事だった。

切なかった、

ある朝、5時くらい、耐えきれずMちゃんの家の近くまでチャリンコで行き、

グルグルと周りを旋回し、こんな事して何になる!と思って

川沿いまで走ってウォークマンで悲しい曲ばかり聴いて、帰った

 

それから彼女と話す事も連絡をする事も無かった

その後すぐに中学生活は終わり、馬鹿どもは散り散りになり、ロクな勉強もできなかった自分はクローズゼロの舞台みたいな殺気に満ちた暗黒学園に入りプレステとパチスロとUKロックにひたすらハマって学園という地獄での服役を終えた。

おそらくMちゃんの顔を見るのもこれで最後だろう、中二の時と変わらず高めの位置でポニーテールを結ぶ姿を遠目に見た、目が合った、

なんとなく話しかけようとあっちがしているのを感じた。しかし俺は何年も女子と会話すらした事ないチェリーボーイである。

合った目を逸らし会場の体育館を出た。

さよならMちゃん

 

帰ろうと歩いていると、気の弱そうな青年、青年と言ってもここにいるのは大体同い年なんだけど、  が、

話しかけてきた

「あれ?神宮君だよね?」

この後みんなで待ち合わせてボーリングに行くから来ない?と言われた。そいつが誰だったかは全く思い出せないけど、きっと僕と同じように学内カーストの下位だった誰かだろう。

とりあえず行く事にした、おセンチな気持ちになっていたのでとりあえずカースト下位だったもの同士でビールでも飲もうじゃないか!と思った。

一旦みんな家に帰って私服で待ち合わせよう、という話になり、家に帰った俺は何を思ったのかスカジャンにグラサンをかけ、ニット帽を被って家を出た、何となく学園で最も下に見られていたであろう自分を払拭したい。という気持ちがあったのかもしれない、集まったみんなは小綺麗な格好をしてこれから大人になります、といった雰囲気だった。

明らかに浮いていた。やっぱり誰とも馴染めなかった。

自分と同じくらいオタクだったI君は走り屋になっていた。

エンジンの話をしながら公道を100キロオーバーでぶっ飛ばされて本当に怖かった。

ボーリングのスコアは覚えていない。