やってられるか

不謹慎と思われるかも〜、と思いながら

こっそりギターを持って大塚行きの電車に乗る

無観客の配信ライブをする為だ、アイポッドかなんかにブルーハーブの未来世紀日本でも入れて聴いたら今の状況にピッタリくるんじゃないかな、なんて思いながらスマホを開く

全世界が突如現れた謎のウイルスのパンデミックにより外出にも死の危険が伴う事態になろうとはバイオハザードをやっていた頃の俺に想像できただろうか、アニメと都市伝説で少し毒された頭で考えるとこの自体は中国かアメリカが増えすぎた人工を削減する為に人為的に作ったサイバーテロなんじゃないか?と勘ぐったりもするがその真実を知る事は僕らは永久に無いだろう。

乗り換えの渋谷で肩を叩かれる、ついに来たか、と思った、ツイッターなどでギターを持ってるだけで蹴られたとかいちゃもんを付けられたというニュースを何度か目にしていた、こんな歳になってまで喧嘩なんかしたくない、バンドマンがヤンキー文化だったのは俺より前の世代の話なのだ、学生時代から俺はナード!しかしどうしてもやると言うなら俺は!ドラゴンだ!と覚悟を決めて振り向く

好青年風の若いあんちゃんが

「ピック、落としましたよ〜」

と一言、僕は渋谷が街も駅も大っ嫌いなんだけどむこう3日間くらいは好きになるかもしれないと思った

その後、駅構内で迷い、一種で渋谷への好感は消えた

どこも人が少ない、街がゆっくりと死んでいっているのは確かだが静かな街は安らぎすらある

夕方の街はまだ肌寒い

駅前の富士そばがひときわ寂しそうである

ライブハウスについてとりあえず一杯、アルコール消毒という名目

そういえばライブ自体1ヶ月以上ぶりだ

何人かから配信を見るよという連絡

観客がいないライブというのは不思議だ、今だってパンパンの中でやることは少ないけどどうしても昔の対バンとハコのスタッフしか客がいなかった頃のライブを思い出してしまう

今のバンドをやる前に組んでいたデタラメなハードコアバンドでの人生初ライブ、場所は当時勝手にバンドの登竜門、この街のハコに出れば売れる!というベースの間違った情報を信じてデモテープを持ち込んだ高円寺ショーボートだった

最初に出るバンドの人が楽屋で肩を落としていた

初ライブでライブハウスの楽屋の作法がわからない俺たちはとりあえず他のバンドの人とは仲良くした方がいい、という当時のベーシストの間違った情報のもと、なんかあったんすか!と話しかけた。前日にメンバーが全員抜けてしまったとの事、なんてこった、他人事ながらに気の毒だと思った、ギター一本でステージに登った彼はEmとCのコードだけでめちゃくちゃにギターをかき鳴らし、魂の咆哮を放った、カッコいいとか悪いとかはギターが歪みすぎてわからなかったがとりあえずベースの奴に聞いたらドラマーだったらしい、楽屋で爆笑した

散々なライブだったが死に物狂いだった

立川の汚いスタジオで週2回練習し、帰りに汚いラーメン屋で汚いラーメンを食べて作り上げた曲を誰もいないフロアに向かって叫んだ

 

配信のライブは久々過ぎて声があまり出てなかった様に思う、新曲もツメが甘かった、それでもあの頃の俺が見たらカッコイイバンドにはなってるはずだ

次のライブがいつになるかはわからない、とりあえず次回のライブは潰れた

仕事もどうなるかわからない状況に陥ってきてる、やってられるか、と全部投げ出したくなる

やるしかねえんだ、と言い聞かせて奮い立たせる

無観客だ、言うてるのに暇に耐えきれず見に来た友達に一杯奢らせて日高屋

中国人の店員のねーちゃんの態度はすこぶる悪かった

帰ったら深夜、何故か米を炊いた

今日も生きてる

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