ナイトホークス

今年、間違いなく最低最悪の年であった

もちろん人によっては結婚したり、お子が誕生したり、宝クジが当たったりなんて人もいたのかもしれないしそれは本当におめでとうと思うのだがしかしコロナで完全に世界は変わってしまったのかもしれない

まだ周りに感染した人間がいないからそれがどういう事なのかがわかってない、実感できないというだけで確実に何かが示し合わしたように変わってしまった気はする、と同時に気のせいな気もする

ブログを随分休んでいた、僕はわかりやすく何かひとつ元気が無くなると他の事も元気が無くなってしまうタイプの人間なので、コロナで激減したライブ、バンド練習、仕事、飲みの誘い、それにつられるようにして心のおちんちんもまた萎んでしまい、とてもブログなんて書く気力も起こらなかった、ただパソコンの前に座りYouTubeを流しながらお茶を飲もうかコーヒーを飲もうかをひたすら考える日々だった

 

時間が沢山あれば何でもできる、コロナの初期はそんな事も思い付き、変な映像を作ってツイッターに流したりラップしたり弾き語りを積極的にやったりもした、ブログも結構書いていた

面白がってくれる人もそれなりにいたし、やはりてめーが動けば何かが起きる、そう思った、そう思って一瞬安心してしまったのかもしれない、気を抜いた途端に俺はダークサイドに飲み込まれ、虚無の中にまた迷い込んでしまったのかもしれない

結局自分は人と音楽を作ったり、たまにそれを演奏したりして、なんもない時は飯食ったり飲みに行ったり、そういう日々が暮らしの真ん中に常にあったんだな、と実感した

別に沢山の人に認められている事をしてるわけでも無いし、もしかしたら誰にも期待などされていないのかもしれないけど、やはりそういういつもの生活が自分には必要だったのかもしれない、そうやって生きてきたんだな、俺は

と思った

ではこういった自分の今の当たり前、それが無かった時、自分は何をしていたんだろう

ほとんど思い出せないけど、一つ思い出したのはとにかく自分は歩きまくっていた

何が楽しかったのか目的が何だったのかもわからない、散歩と言うほど優雅でも無い、季節を問わず、寒くても暑くても、朝でも深夜でも時間がある限り街をうろつきまくっていた、別に景色を楽しむ為でも無いし、人間を観察する為でも無い、むしろ自分は人間観察ができないタイプの人間なので人がいない裏道なんかを好んで選んで歩きまくっていた

楽しかった記憶も無い、足が痛くなってきたから帰ろう、くらいにしか思ってなかったと思う

じゃあ何をしていたんだろう

漠然と空気を感じていたような気はする、この街の深夜はこんな感じ、朝まで歩くとこんな感じ、こっちの道にいくとこんな感じ、

何を言っているかあまりわからないと思うけど、好きな道とか、経路って無いだろうか?

あと電車とかの好きな乗り換え、嫌いな乗り換え、とか

こっちの道を行けばちょっと近い事を知っているのに自然とそっちじゃ無い方を選んでしまっていたり、時間があるから40〜50円違うけどこっちの路線で帰りたいみたいな

もしかしたら自分だけなのかもしれないけど僕はそのなんの役にも立たない嗅覚をひたすら研ぎ澄まして歩いていた気がする

歩けど歩けど望んだ景色が出てくるわけでは無い、ひたすらに続く住宅街をこっちの道の感じが良さそうだ、と判断し、角を曲がり、また曲がり、繰り返しながらどこだかもわからない場所で、あぁそろそろ帰ろう、疲れた、

そうやって過ごしていた様な気がする

街には何かある、でも無くてもいい

それを繰り返してここまで歩いて来たのかもしれない

その時の嗅覚が幸いしたのか、非常にいい感じの居酒屋を見つける能力だけは身についた、それだけでも歩き回った意味はあったかもしれない

 

もう今までの暮らしが戻らないんだとしても、また疲れるまで歩いて、また休んで、また玄関から出て行く

そこに喜びがあるかもしれないし、無くてもいいや、また疲れたら戻ってきて休むからね

何でもいいわけでは無いから俺はまだうろつきまわるよ

 

めちゃめちゃ昔、深夜4時くらい、外の気温は極寒、ビキビキの張り詰めた空気

前方から人影アリ、新聞配達では無さそう、進行方向には曲がり方が2つ、曲がると更に小道に折れ込む、もしやつが変態とかヤバい奴だとして後をつけられたりしたらマズイ、ここはチキンレースだがすれ違う方向で行こう

少しこちらを見た気がしたがついてくる気配は無さそうだ

ふん、夜中に無闇に出歩くんじゃねえよ、気持ち悪いなぁ、、まぁこれは見事なブーメランか

 

あ、今週のジャンプ落ちとる、ありがたく頂戴しよう

 

あれ?ここの弁当屋潰れたのか、残念、、あんまり来たことは無かったけど弁当屋が近所にある、って事が重要なのに、、

なんか弁当屋の事考えたら腹減ってきたなぁ、

 

もうちょい行くと牛丼屋の横を通り過ぎるよな

 

しかし通過してコンビニまで耐えるって戦法もいいなぁ、カレーパン食いたいんだよなぁ

 

さすがに冷えてきたな、マフラー置いて出たのは完全に失敗だわ、、

 

とりあえず缶コーヒー買っちゃおう

 

あ〜、牛丼屋の灯り、いいねえ、この真っ暗な夜の街で唯一のオアシス感あるよねぇ

いや〜、入っちまうか

そうしよう、そしてカレーパンも買って帰っちまおう

 

いや〜しかし眠い、明るくなる前に帰って布団入るのやりたい

急ごう

もうすぐ我が家

もうすぐ我が家

あ、牛乳買うの忘れた〜